ここ1年を振り返りますと、改めて仲間の力の大きさ、豊かさを確認できた年となりました。時差出勤の導入、通年のマスク着用、大声でしゃべらないなど仲間にとっては「強いられること」が多くなり、さまざまな負担がかかっているだろうなと心配していました。
しかし、言葉には出さずともみんな今が踏ん張りどき!と淡々と力を合わせてきたように思います。いつまで「今が」が続くのか見当がつきませんが、一日いちにちを大切に積み重ねていきたいです。
仲間とのかかわりのなかで、自立とは?親亡きあとの生活を考えさせられた事柄について紹介します。仲間のAさんは、この2年のうちにご両親を相次いで亡くされました。Aさんは高等部時代に寮生活を送り、社会人となってから10年以上グループホームで暮らしています。実家とほどよい距離を保ち、仕事も余暇も充実した生活を送ってきました。両親を亡くした悲しみは癒えませんが、お母さんが彼の若いうちから自立への道筋をつけてくださったおかげで、Aさん自身の生活は全く変わることなく、これまで通りを維持できています。
自分が元気な“うちは”・・・わが子の面倒をしっかり見ていくという親がほとんどですが、Aさんのお母さんはむしろ自分が元気な“うちに”・・・と、子離れをしていろいろ制度利用を広げられてきたのだと思います。それが今のAさんの豊かさにつながっているのでしょう。仲間それぞれの自立の形があっていい。仲間のねがいに、寄り添える職員集団でありたいです。
施設長 真田 友恵